2010/06/08
experiment report

報告がおそくなってしまいましたが、先月25日で展示会 [3] を無事終えました。
忙しい中会場まで駆けつけてくださったみなさま、ほんとうにほんとうにありがとう
ございました。
久々に会えた方もたくさんいたり、また新たな出会いもありで、貴重な時間を過ごす
ことができました。

これより [3] の「実験結果」としてここに報告いたします。



この看板を目印にビルの地下に進むとgalloはあります。



エントランスに現れるヌケメくんのインスタレーション



ヌケメくんの作る服は「根本的なメディアであり、手触りのあるコミュニケーションツール」
だと本人は語っています。

作品は、日本語を刺繍した帽子、プリントブリーフ、フォーマルなパジャマ、ツナギ、布団、
ふんどしなどがあります。

今回展示していた洋服は「ヤンキー専用パジャマ」。

帽子は、キャノンの写真新世紀の賞を取った写真家であり散文家のアーティストの
辺口芳典さんのコトバが刺繍されています。
いちど聞いたら頭から離れないコトバばかりです。
「寝タコを起こすドメスチック・ファンシー」とか。「口と包丁」とか。
「足し算が時々適当」とかとか。

プリントブリーフはカラフルな生地の上に、これまた意味ありげに捉えられる写真が
プリントされています。
「はさみ」とか「HOTEL」とか「穴」とかとか。







kagariのカバンもまた、一度見たらなかなか印象深いカバンです。
もともと言葉遊びがすきなヒトなんだと個人的には思っているのですが、

「カバンは空間を持ち運ぶもの」

「空間を作り出すものは壁」

「壁」=「カバン」

というコンセプトでかばんを作り続けている方です。

牛革でかたづくられたきれいなラインに、壁塗りに使われるパテが表面に塗られて
います。

私もカバンひとつと名刺入れをかなり長いこと愛用させて頂いているのですが、
月日を追うごとにいい感じに質感が変わってきます。
最近密買東京でも販売している
コンバースも かなり気になります。



calyxは今回[kado]と[rollin’ ring]、[plastic print]を展示しました。





[kado]はひとつひとつ、その人にとってインスピレーションを感じた花を選び、
組み合わせできるようになっています。

昔母親と一緒に華道を習いに行っていたのですが、このジュエリーもそんな感覚で
楽しめたらなと。
アメリカのフラワーデザインは、3次元のどこから見ても統一したフォルムが感じられ
るように生けるとされていますが、華道は鑑賞する見る方向を正面と定めたり、3次元
の空間を2次元で最大限に表す流れがあります。

四季がある日本だからこそ季節にあわせて選んでもいいし、そのヒトの誕生日にまつ
わる花を選んでもいいし、花にかくされたメッセージを加えてもいいです。

以前結婚のお祝いのプレゼントとしてオーダーを受けたことがあります。
そのときは、その人のお誕生日の花と「祝福」という意味のお花を加えてつくりました。





[rollin’ ring]はだれでもどの指にもつけれるゆびわです。
ゆびわってサイズが固定されているものが多いがゆえに、せっかく気に入ったのに
身に着けることができなかったり、指のサイズが変わってしまったために
つけることができなくなってしまうことがあります。
そんなもどかしさを無くしたくてこのゆびわが生まれました。

ゆびわをひとつひとつよくみると、素材に直接テクスチャーが入っているのですが、
これはcalyxの実験的な要素も含まれていて、身の回りにあるいろんなものから
金属に直接プリントしています。
壁に貼られている写真がそれぞれ実際に使われたマテリアルです。
中には、実はつけまつげからプリントされたものも隠れていたりします。



[plastic print]もcalyxのなかで実験的要素が多いラインです。
「plastic」にはよく耳にする素材名としてのプラスチックと、もうひとつ美術用語で立体造形
の意味があります。
つまるところ、plastic printとはプラスチックに立体的なプリントをし、造形していくことです。
[rollin’ ring]に続き、こちらも身の回りの立体物でプリントを続けていこうとしています。
日々おもしろいカタチを求めて実験中です。

ガラスのビンの底や、もう使わなくなってしまったアクセサリーをplastic print
するとあらわれたのはレースみたいなカタチ。

空枠とよばれる、石が留められる前のアクセサリーパーツplastic printすると
あらわれたのは石みたいなカタチ。

それぞれのカタチから構成されてつくられていきます。



ビンの底はよく見ると微妙にメーカーによってカタチが異なっていて、
たまにレアなカタチをしているものもあります。

[3]は終了しましたが、今後もgallo the Livingに常設としてヌケメ、kagari、calyxの商品が並びます。

横浜まできたときは、ぜひふらりとgallo the Livingに立ち寄ってみて下さい。

そこだけ空間を切りとられてきたように、ビルの地下の廊下を進んでいくと
突如現れるおもしろい場所です。

そこにはゆるやかな時間が流れています。
時間に追い立てられている日常を忘れることができるかもしれません。

ゆるやかな時間といえば、ここのとこ実家に帰っていなくて、
そろそろじぶんをリセットしに行かないとなと、さいきん思います。

半年に1回だけでも、それは必要不可欠なことみたいです。

東京にいて、毎日時間がないと言っていることがうそみたいに、
地元にいると、いろんなことができそうな気がしてきます。

物理的自由の中にある精神的不自由か、物理的不自由の中にある精神的自由か。
どちらをしあわせと思うかは人それぞれですが。